こんにちは!mimiです。

本日は思うところあり、幹細胞培養上清液、ヒト幹細胞、サイトカインなどについて、私たちど素人(お猿🐵)でもわかるを目的に、書いてみたいと思います。


◎はじめに

私は現在、某国立大学の生物基礎研究系のラボに勤務しています。
わたしの知識は、主に生物系の研究者と話していて知ったことと、自分が調べたことがベースになっています。
立場が異なれば解釈が異なること、またサイトカインの分野は免疫系の中枢とも言え、それだけでたくさんの本が出ているほど複雑です。

IMG_3052

あくまでmimiの調べたことと解釈になりますので、その点予めご了承頂ける方のみお読みください🙇‍♂️

また私も含めた、「お猿でもわかる🐵」を目標にしているため、専門性よりは分かりやすさを優先して書いています🙏


◎まず幹細胞ってなんなのよ??

FullSizeRender


まず幹細胞とは、「シナリオゲームのタイトル選択画面」みたいなものです✨


そこから選択を重ねるにつれ、幹細胞の進路が分岐していって、私たちの身体を形作る細胞になります。


そして幹細胞のなかで何にでもなれるものが、受精卵から少し発生が進んだ胚盤胞期の胚の一部である、ES細胞です。


そこから、その後のルート選択で、神経に分裂されることが運命づけられたものが「神経幹細胞」。皮膚組織になることが運命づけられたものが、「皮膚幹細胞」と呼ばれることになります。(他にもたくさんあるよ✨)


肌に関する幹細胞については、こちらの資生堂のサイトが詳しいので、ご参考まで。🙏


『一度、ゲームの中で特定の女の子ルートを選択したら、基本他のルートを選び直すことはできません。』🤭



◎ちなみにiPS細胞


ちなみにiPS細胞は、一回何かになった細胞に4つの遺伝子をぶちこむと、細胞の状態が一つ前に戻るよ!っていう発見でノーベル賞をとりました🤭✨

『一度女の子とのデート選択肢を間違えて好感度が下がっても、リセットしてもう一度やり直せるよ』ってことです。

まさにゲームのバグみたいなもので、こんなの見つけられた日には神様(?)もびっくりだったんじゃないかと思いますよ🤔

人体という複雑極まるゲームの超級のバグを発見したからノーベル賞取ったと、私たちお猿は理解しておきましょう🐵



◎なんで幹細胞を培養するのか


まず細胞は培養できるものとできないものに分かれています🙅‍♀️

そして幹細胞の中には、シャーレや試験管の中でも分裂させ、培養できるものがあります。


そしてもう一つ幹細胞を培養する大きな理由...


幹細胞は、細胞を生み出す工場のようなもの。幹細胞が壊れたら、そこから生まれる全ての細胞がぶっ壊れることになるわけです😱


それを防ぐため、幹細胞っていうものは


✅生み出すこと 

✅ダメージを負わないこと


にフォーカスした機能をもっています✨✨


幹細胞を培養する意味は、そこから培養した細胞も、その


「生み出すこと」=「成長因子(グロースファクター)」

「ダメージを負わないこと」=「抗炎症作用」


という特性をたくさん持ってる可能性が高いからです✨



◎幹細胞に色々な種類があるのはなんで?


美容が好きな方は、「歯髄幹細胞」「脂肪幹細胞」など、いろんな幹細胞の名前を聞いたことがあると思います。


色んな幹細胞コスメがありますが、基本原料を取りやすい幹細胞が、歯とか、脂肪ってだけです🤔


歯髄細胞は、子供の抜けた歯から。

脂肪はもちろん、まあ脂肪です。

臍帯血は、臍の緒ね。


「ゴミからお金を生み出す、まさに錬金術っていうか逆転の発想🤣」という言葉も頭をよぎりますが...🤭(ゲホゲホ


例えば骨髄から幹細胞をとるのは、めちゃくちゃ痛いし大変です😱

それこそ骨髄バンクなど、切羽詰まった状況の場合はその限りではありませんが、気軽な気持ちで提供したいという方は少ないでしょうから、原料になりにくいです。(あっても当然すごく高い💦)


また培養の原料となる材料は、分裂する機能が高い若い子(20代ー30代)から取っているところが多いです🤭


『このゲームの登場人物は若くて質のよい女の子のみです』🤭



◎サイトカインって何なのよ?


で、この幹細胞を培養すると、その上清液(細胞を培養した時に出てくる液体から、培養細胞その物を抜いた液体の総称)には、「サイトカイン」という生理活性タンパク質が含まれています👍


幹細胞培養上清液に効果がある、と言われている根拠は、主にこの「サイトカイン」が含まれているからです。


サイトカインってなんなのよ?ということですが、ざっくり言うと


細胞から分泌される、生理活性を持った、低分子のタンパク質すべての総称

(※生理活性=他の細胞に影響与える)


のことです😤

IMG_3051



で、サイトカインはなんと800種類ある、と言われていて、その働き方によって6種類に分類されます。
EGFやFGFは、美容好きの方は聞いたことありますよね?


◎サイトカインの役割

サイトカインが身体のなかで何をするかっていうと、一言で言うなら


情報を伝達するすべてを司っています。


仮に一つの細胞を、一人の人間としてイメージしてみてください🤔


人は生きていく時に一人だけでは生きていけないから、いろんな人に連絡を取りますよね。喋ってみたり、メールを送ったり、電話をしたり、Twitterをやったり、さまざまな方法で情報を周りの人に伝えています✉️


この時にあなた(細胞)がだしている情報(物質)、全部がサイトカインです!


例えば、サイトカインの800種あるうちの一つ、「ケモカイン」が出ると、白血球がやってきて傷ついた細胞を修復してくれます✨


また美容業界で有名な「EGF」や「FGF」は、「グロスファクター」という名前に分類されるサイトカインです。(中でもFGF8というサイトカインは、胎児の発生に関わることで有名)

そしてグロースファクターは、変異するとガン化することでも知られています😱💦


でもってこういう、いい働きをすると思われるサイトカイン「成長因子」(別名:グロースファクター)が美容方面では強くPRされているというわけですね🤔



◎でも、サイトカインっていいことばかりするわけではないのよ😞


さっきの話に戻って、細胞を一人の人間とイメージすると...


あなたという人間は、人に対してポジティブな情報を発信することもあれば、悪口や愚痴や怒りなど、ネガティブな情報を発信することもありますよね?😱


サイトカインもそれと同じで、「身体に炎症を起こすよう」に指示するサイトカインも存在します。このサイトカインの総称が『炎症性サイトカイン』です🔥🔥


5003


体内で炎症性サイトカインと、抗炎症性サイトカインのバランスが崩れると、炎症が持続します🔥🔥🔥


◎じゃあいいサイトカインだけ取り出すことってできるの?


じゃあ、いい働きをするサイトカインだけ、取り出しちゃうことはできないのか?

結論から言います。


今の技術ではできません🙅‍♀️


培養した上清液の内容を解析するだけでも、専用の機械が必要で、とてもお金がかかります💴


だから、サイトカイン系の材料は、「抗炎症性サイトカイン優位」と言うような書き方をされることが多いわけです。(半分より多く入ってるよ、というくらいの意味合いです)


これは先ほどの細胞を一人の人間に例えたイメージで言うと、


「あなたと言う人間の住んでる家から出るゴミを解析したところ、この部屋のゴミの中身は食べ物が多かったです💁」


くらいのニュアンスです🙏


その食べ物の細かい種類や働きを一個一個解析するのは無理だから、「優位」という曖昧な言い方になるわけです。


それで各メーカーが何をやってるかって言うと、「どの幹細胞から培養されたサイトカインが一番抗炎症作用が高いか」ということで、凌ぎを削りあっています🙏



◎サイトカインの問題点👿


脂肪や、臍帯血由来の幹細胞培養上清液は炎症性優位だとか、骨髄由来の幹細胞培養上清液は抗炎症性優位だとか、色んなことを色んな方がおっしゃってます😱


でも一つ確かなことは、幹細胞上清液には

抗炎症性サイトカインにまじって、炎症性サイトカインも含まれてる

ということです🤚


そしてサイトカインは、身体のあらゆるところで、同じ物が使われています。先ほど書いたようにサイトカインが800種類ある上に、複雑に情報伝達経路が入り組んでいるため、特定の部位だけにピンポイントで入れたとしても、どの伝達経路が体内で働くかはわかりません😳


「サイトカインの弱点として、その作用が強力であることが挙げられます。局所だけに使うことができれば良いのですが、それが難しく、全身にまで行きわたってしまうため副作用が起きてしまいます。そのため、現在ではサイトカインそのものを薬剤として使用している例は限られています。」
サイトカインは本質的には、生体がもっている免疫システムの中核因子(本当にどまんまんなか)なので、ガン治療などの「多少ほかの細胞が死んでもしょうがないくらい、せっぱつまった状態」で使うようなものなのです。(それも標準治療ではありませんが...)


◎幹細胞培養系、サイトカイン系スキンケアって....

美容に興味のあるみなさまが、おそらく一番気になること。
幹細胞培養系のスキンケア製品、効くのか効かないの??って話だとおもうのですが…


私の意見は、こちらのかずのすけさんのブログ記事と大体同じです。

主成分はほぼコラーゲンとヒアルロン酸で、
 
成長因子などは例えば一番多いEGF(10032pg)でも0.000000010032g/mLということになり、
 
ほぼ0に等しい濃度になっています。
(さらに、EGF等のグロースファクターは分子量が大きすぎるため、正常な皮膚に塗布しても浸透はほとんどしません…)
 
一応幹細胞培養液自体は、このタイプ以外にも複数ありますが、
 
基本的にはこのような感じの成分で
 
コラーゲンやヒアルロン酸などの保湿成分がメインのエキスという理解が正しいと思います。

◎mimiの考え🙏

幹細胞培養上清液製剤に含まれる成長因子のほぼ0に等しい濃度ということなので、その化粧品を使ってとてもテンションが上がる方や、その化粧品を使ってると調子が良い、と感じる方は使われてよいのではないでしょうか🙇‍♂️

逆に幹細胞由来の何かが効能を発揮する可能性は少ないでしょうが、保湿成分は含まれている可能性が高そうですので...🤭

幹細胞培養系コスメはお値段が高い物が多いですから、その価格に見合った価値があるのかというのは、個人の判断に委ねられると考えています🙏


また「原料」としての幹細胞の安全性については、こんな記事を見つけました。
この原材料メーカーでは、「半年間」はドナーに潜在的な病気のリスクがないかを判断する為に、採取した幹細胞は冷凍保存しているそうです。この「半年」という期間が、長いか短いか、という判断は、本当に個々の価値観に委ねられると思います。。🤢



以上のように、化粧品であれば微量配合である場合は影響が少ないと考えられますが、一部の美容医療では、サイトカインが含まれる幹細胞培養上清液を水光注射の形で肌に入れたり、フラクショナルレーザーやダーマペンと言った肌の表面をわざと傷つける治療法を行う時に塗る、注入するなどのメニューが実際に行われています。

これに関しては、私だったらやらないです🤚

重度のニキビ跡で本当に悩んでいる方が、医師から将来的なリスクを説明され納得した上でされるならまだ理解できますが、普通肌の方が「傷からの回復力が高まるから」くらいの認識でつけるなら、やめたほうがいい(リスクの方が高い)のではないかというのが、私の感想です🙇‍♂️


ここまで長々と書いてきたように、上清液に含まれるサイトカインに炎症性サイトカインも含まれていること、サイトカインの伝達経路の複雑性ガン化のリスクなどを考えると、安全に使用できるという研究論文がきちんと出て、ある一定の臨床データが蓄積されてから使用したいなと思っています🙃


自由診療の分野は、安全性の確認が不十分であっても、流行りであれば施術をしているクリニックが多くあります。(アク◎フィリング豊胸や、血液クレンジングが話題になったのは記憶に新しい)
新しい治療だからと闇雲に飛びつかず、リスクとベネフィットをなるべく理解する努力をする、最終的な判断は自分にあることを自覚することは必要だと、私は考えています😊


◎まとめ

今回は比較的ネガディブな内容になっているため、参考で載せられるものが少なくて申し訳ないです😭💦
私も特定の製品を否定したい訳ではないですし、使っている方を否定する意図もありません🙏

ただTwitterなどを見ていると、”企業の研究データ”と、”査読を経た研究論文”が混同されて語られているきらいがあり、それについては下記ツイートが私の考えになります。


ありがとうございました🙇‍♂️


◎参考